2014/12/28

紫電-MXH-RF800-

イヤホンといえば日本はソニーやオーディオテクニカなど世界的なオーディオメーカーがいるので、どうしてもそれ以外の国内のメーカーはどうしても影が薄いのが現状。
それでも目立たないだけで、いい音を奏でるイヤホンはある。

maxellもそんな企業の一つ。
といってもmaxellはもともとカセットテープ全盛期の時には一大メーカーだったし、そのほかのAV系にはとても強いメーカーだった。

そんなmaxellだけれど、これまでイヤホン自体はあまりぱっとしてなかった印象がある。過去に発売されていたMXH-DBA900はハイブリッドタイプの先駆者だったけど、個人的には低音モコモコでクリア感はなかったし、MXH-DD600やMXH-DBA700はもうその形がダサ過ぎて試聴する気にもならなかった。

しかしながらここに来て自分の好みにぴったり合う音を奏でるイヤホンが現れた。
それが今回のタイトルにもなっているMXH-RF800だ。

これは元々maxellの低価格ラインで発売されていたMXH-RF500の上位版として開発されたそうだけど、申し訳なくも自分はその機種を一度も試聴したことはなかった。話によるとRFとつく型番の商品はフラットで音源の音を忠実に再現することをメインに据えて開発されたシリーズで、Roomy Flatの頭文字らしい。
いまだMXH-RF500を試聴する機会はないけれど、今回紹介するMXH-RF800は試聴した瞬間、ゼンハイザーのIE60を売りさばこうと考えたほど、ドライで広い音場と音のメリハリが心地いい、まさに自分の好きな音の響き方だった。

細かい仕様は割愛するとして、何よりもその音がいい。
低音はタイトに、それでいて十二分に響く。中音も解像度が高く、音の分離もいい。またサラウンド感もあり、ホールの真ん中で音楽を聴いているような響き方だった。反面、高音は耳に刺さることはないけど、刺さる直前で若干押しつぶしたような不自然さはある。このへんはmaxellの発表会でも説明があったように何かしらの手は加えているようだ。

合うのはロックやポップスなどのポピュラー音楽の方が合う。クラシックやフォークなどのアコースティックな音楽にはきっともっと合うイヤホンがあるんじゃないだろうか。もちろんMXH-RF800でも十分綺麗な音ではあるんだけど。空気感まで再現するとなると少し分が悪い。
また個人的には筐体デザインも好きな形で、ワンポイントの紫がなかなか珍しく、所有欲は満たしてくれる。

ただ注意点としては、まずケーブルが細い。本当に細い。一般的なイヤホンのケーブルの3分の2から物によっては2分の1ぐらいの細さしかないので非常に心細い。次に仕上げが雑い。表面処理が最初はツヤツヤでいいんだけど、一度触ると指紋がよくつき、また背のシルバーのスピン加工部分も曇る。傷にも弱い。塗装力が弱いのか、本体が擦れるとすぐに下地の白色が出てくる。まだこうにゅうして3ヶ月くらいしか経っていないけど、すでに目に見える傷が4箇所ほどある。
まぁ耳につけて使用するものなので、見た目はいいのはいいんだけど、それでもやっぱり定価2万円前後なのだから、もう少し品質は上げて欲しかった。
こればかりは音が好みなだけに非常に残念だ。

価格的には少し高いかな。
適正価格は定価14,800円、値下がって実売12,000円前後が一番売れるラインじゃないだろうか。しかしながら、そこは自分の知らないところで、開発費がかかっていたりと事情があるだろうから仕方ない。
個人的には買ってよかったと思うし、非常に満足している。

今後は音はそのままに商品の品質を上げてもらうと、ソニーやオーディオテクニカにも負けないイヤホンに十分なりえると思うので、ぜひ次作は頑張って欲しい。
そんなイヤホンでした。

おしまい